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「堀田……確かに私は“ジャムについて作戦を立てろ”と言ったが
そのジャムじゃないぞ?」
事務所のテーブルの上には、まだ大量に余っている緑と黄色のカラフルなジャムの瓶が2本と、食パンが3切れ程置かれていた。
「チッ、やはりお前はツッコミ役だな
ボケてもちっとも面白くない」
「別にボケたわけじゃないんですけど……」
「フン、で、なんなんだ、コレは?」
「僕の昼飯ですよ
かなり余りましたけどね
冷蔵庫に置かせて頂いてよろしいですか?」
「構わんが……その前に一枚貰うぞ?」
「どうぞ
味は確かですよ
1度にこんなに食パン食べられたのは初めてです」
「フ〜ン、ちなみに何味と何味だ?」
「キウィとバナナです
個人的にはキウィの方が当たりでしたが、甘党の所長はバナナの方が良いかもしれません」
「バナナを奨めるとは……いやらしい奴め」
「いやいや!原形留めてませんから!」
「フフ、下ネタにも即対応、か
やはりツッコミの方は光るものがありそうだな」
胸元から取り出したメモ帳に、なにやら書き込む所長。
大変気になるが、恐らく見ない方が自分の為だろうと貫は瞬時に判断した。
「お、なるほど
これは美味いな」
「でしょう?
なかなかのものですよ」
「まだたくさんあるな……
堀田!残りくれ!」
「……自分で買って下さい」
「チェッ、ケチぃ」
「口尖らせてもあげません」
「……フフン、正直に言え
今の私に萌えたろう?」
「バッ!!
萌えるわけなかろうもんっ!!」