「フン、親父…か
貴様のような愚物にそう呼ばれると虫酸が走る
未だに信じられんよ、貴様のような脆弱な存在が、私の血を引いているとはな…」
「親子…なのか?
でも…さっき黛って…
…名字が違うぞ?」
困惑した表情を浮かべる亮。
「フン、今は堀田と名乗っているそうだな…
何故、誇り高き黛の名を名乗らん?
もっとも、貴様には勿体ない名だがな」
「僕は…いや、僕達はアンタに捨てられて、九州の田舎の堀田の家で育てられた
僕は黛の人間じゃない…堀田の人間だ」
「真矢(まや)の実家か…
まぁ、貴様にはお似合いの名前か…
貴様のような駄作には、黛の名はさぞ重かろうさ
それで?一体何の用だ?」
「おかんの…母さんの遺言だ…
アンタを止めてくれ、ってさ…」
「真矢…逝ったのか…」
男は空を仰ぎ見る…その顔に浮かぶ色、それは後悔か哀しみか。
「そうか…“間に合わなかったか”」
いつも通り眉間に皺を寄せたその顔からは、伺い知ることはできない。
「フン、長年に渡る悲願が後少しで達成されんとしているのだ
何が起ころうと、私のやることは変わらんよ」
「…母さんの最後の頼みだぞ!?」
「くどい」