「言霊(ことだま)…という言葉を知っているかな?
口は万物の氣の出入口、故に、言葉には呪力が宿ると言われている
強力な意志を持つ人間の言の葉は、魂を揺るがす
言葉に意志を乗せ、相手の意思を書き換える…
それが私の能力、《強制言語(ザ・ワード)》の力だ
ま、簡単に言えば、絶対に逆らうことができない強制的説得力というところか」
「「………」」
一同、皆沈黙した。
男の言った、その圧倒的能力、もしそれが本当のものなら…
「まぁ、そうは言っても絶対ではない…
自殺しろ、等という余りに無茶な命令を聞かせることはできない
現に今、動くな、と言ったが、心臓等の不随意筋の動きまで止めることは出来ていないからな…」
この男に勝つことが出来る人物等、恐らくこの世に存在しないだろう。
ただ言葉を話すだけで、この男は相手を好きなように出来る、神の領域に足を踏み入れた能力。
現に今動かない自分の身体が、男の能力が紛れもない本物であることを、如実に物語っていた。
青ざめる三人の顔を見て、男は悦に浸る。
この男、他人の絶望する様を見るのが好きなのだ。
「クツクツクツ
では、この娘達は頂いて行く
我らの悲願達成の為に…」
そう言って、男がヘリに乗り込もうとした時…
「待て!
黛一輝っ!」
どこからか現れたある人物が、男の名を呼び、待ったを掛けた。