事を終えた後、少女の襟をムンズと掴み片手で持ち上げ、男の元へと行く美柑。

その顔には、一切の表情という表情は浮かんでいなかった。

「ご苦労
では行こうか」

感情のない声で、男はそう言った。

「待…てよ…テメェ……」

「ほう…なるほど
咄嗟に身体を退いて、ダメージを緩和させたか」

膝を手で押し、立ち上がる亮。

無類のタフネスを誇る彼だが、そのダメージは歴然。

美柑の腕力で殴られたら、常人なら頭が弾け飛び、絶命しているところだ。

亮だからこそ、この程度で済んだのだ。

「そうだ
いきなり現れて私のメイドを連れて行くんじゃない」

煙草を蒸しながら、響子が一歩ズイと出る。

「…行かせませんよぉ」

刺された箇所を押さえながら、匠も立ち上がる。

「………フゥ、面倒だな
君達の相手をしている程、私は暇じゃないんだよ
【貴様ら三人動くな、そこで、しばらくじっとしていろ】」

「「っ!?」」

男の言葉を聞いた瞬間、三人は人形になってしまった。

「身体が…動かない?」

「くっ…何故です?」

「……お前、今何かしたろう?」

突然、三人の身体が全く動かなくなる。

本当に微動だにしなくなったのだ。

「クツクツクツ
まぁ種明かし位はしてやろうではないか
絶望的な戦力差を知り、諦めてもらおうか」