亮と少女を乗せたリムジンは、颯爽と走り去る。

タッチの差で間に合わなかったが…それを、例の三人は見ていた。

背広姿の男は携帯電話を取り出し…

「………もしもし
ああ、いや、まだだ、車に乗って逃走した…
…そう、うん、頼む」

通話終了と共に携帯電話を閉じる。

………

男が電話をし終わった後しばらくして、三人の元に、大量の様々な種類の車と、プロペラ音と共に、ヘリコプターが2台やって来た。

バララララララララ

「よし、追うぞ…」

ヘリに乗り込む男達…追撃は、まだ終わらない。

そのやりとりを、影に隠れて見ている一人の男がいた事を、彼らは気付かなかった。

 

………

「………なるほど
だいたいの事情はわかった」

響子が、煙草をプカリと蒸しながらそう言う。

亮がおおざっぱにだが、現在の状況を三人に説明したのだ。

「正直よくわからんことだらけだが…
鷹橋とみかんの知り合いなんだ、手助けしようじゃないか…
鷹橋、とりあえず“あそこ”に行こう」

「わかりました
…と、言いたいところですが」

明らかに不自然な動きを見せる車が数十台、前後左右からこちらに向かって来る。

「どうやら、囲まれてしまったようですね…」

いかに匠の技術を以てしても、こうも完全に囲い込まれてしまっては、そう簡単には逃げきれない。

逃げたのはつい先程のことなのに、もうこれだけの数の追っ手が集まって来た。

敵は、かなり大きな組織のようだ。

「どうしましょうお嬢様…
流石にここまで囲まれては、多少荒っぽいやり方をせざる負えませんが…」

「ワハハハ!
私が駄目だと言う筈ないだろう?
構わん、派手にやれ!
後始末はしてやる」

「わかりました
…美柑!やりますよ!」

「らじゃーっ!
ヌフフ、久しぶりに…あっばれっるよ〜っ!」