………

「リョー、買い物に行きたいんだけど…」

「買い物!?
何買うってんだ?」

「夕飯のおかずとか、トイレットペーパーとか?」

「あ〜…、そういや紙切れてたな…
いいよ、俺が買って来る」

「…私行きたい」

「…ん?いやいや、もしかしたら奴らがヒメのこと探してるかもしんないだろ?
危ないって…」

「…行きたい…」

「駄目だって…」

「行きたい」

「いや…」

「行きたい!」

「………」

「行きたいっ!!」

「………ハァ、一緒行こうか」

「うん!
私着替えて来る!」

「お〜
………ハァ
俺って、押しに弱い人間だったんだな…」

ガックリと肩を下ろす亮。

「…お待たせ、行こう!」

「ん…あ、あぁ」

少女の服装は、亮が買って着た空色のワンピース。

凹凸の少ない身体つきの少女に、とてもよく似合っている。

「…ん、行くにしたら、ちょっとは変装しねぇとな…
ホラ」

「わぷっ…何?」

少女の頭に亮がバフッと被せたものは、可愛らしいリボンの付いた帽子だった。

「ヒメの髪は目立つからな…
そいつで少しは隠せるだろ…」

「ありがと…
………ねぇ、私の髪…やっぱり変?」

「ん?いや、変じゃないぞ
ただまぁ、珍しくはあるだろうな…
でも変じゃないさ、雪みたいで綺麗だぞ」

「………雪?」

「ああ、知らねぇのか?
空からこう…フワフワと降って来てな…」

雪の降る様を手で表す。

「んで積もったりして、なかなか綺麗だぞ」

「…ううん、知らない
…見てみたいな…雪」

「今は夏だからな…
冬になったら、見れるさ」

「……冬…」

「…ああ
冬になったら、一緒に見よう」

「…うん!
…約束だよ?」

「…ああ、約束だ」