「わ、わかった!ちょっと待ってろ!
着替え…買ってくっから!」
財布片手に、慌てて靴を履く男。
「あ、待って!」
「っ!な、なんだよ?」
「パジャマと下着だけじゃなくて、外出用の服も数着、ね…」
「…ハイワカリマシタ」
………
「た、ただいま〜」
ゲッソリとした表情で両手に紙袋を抱え、男が帰って来る。
風邪をひくから…と、少女はお湯を貯めた湯舟に浸かって待っていた。
「着替え…ここ置いとくから…」
洗濯機の上に買って来た品を置き、男はリビングのソファーにボスッと倒れ込む。
少女の服を買うという行為で、例えフルマラソンの5倍の距離を走っても息一つ切らさないこのタフネスが、完全に疲れきっていた。
特に、ランジェリーショップでの買い物はもう…。
男の体力をねこそぎ奪い尽くしてしまったようだ。
………
「出たよー」
「ん、お、おう…
………」
「………何?」
「い、いや…」
「あ、着替えありがとう…
このパジャマ可愛いね」
「あ、あぁ…まぁまぁだな」
男が買って来たパジャマは、可愛らしい沢山の猫の絵がプリントされている。
長袖・長ズボンタイプのもので、少し少女の身体よりサイズが大きく、袖が余って、キョンシーのようになっている。
流石にブラジャーを買うことはできなかったらしく、パジャマの下には白の無地のTシャツ。
下着は、これまた猫の絵がプリントされた子供用のもので、小柄な少女にはピッタリだった。
パジャマを着た少女は、とても可愛らしく、男は一瞬見取れてしまったことを悟られないように、少女と目を合わせないようにしていた。