◇
少女を連れ出した後、男はとりあえず自宅へと連れて行った。
依頼人である堀田貫に連絡を取るも、繋がらない。
仕方がないので、連絡が取れるまで自宅で匿うことに…。
「オラ、飯だ
食え」
「………」
最初の食事は、男が準備した。
もっとも、レトルト食品を温めただけのものだが。
「いただきます
…ん?あ、なに先に食ってんだよ
キチンと挨拶しろ」
「…挨拶?」
箸を止め、少女は小首を傾げた。
「ああ、飯を作ってくれた人や、今から俺達の腹ん中に収まるこいつらに、感謝の気持ちを表すんだよ」
「…えっと…」
「ああもう、とりあえず俺がやってんのを真似しろ
ほら、こうやって手を合わせてだな…」
「…こ、こう?」
少女は素直に、男がしている合掌を真似る。
「そうだ、んで、いただきます、だ
やるぞ、せ〜の…」
「「いただきます」」
………