「なんかさっき凄い音が…
っ!?
なっ!ななっ!?
マ、マッチョがいるーっ!!」
「しまった!」
様子を見に来た研究員に見つかってしまう。
男らしくないミス、少女に気を取られ過ぎていた。
「し、侵入者だバブっ!」
叫び出す前に素早く殴り気絶させる、セリフの途中だった研究員は赤ん坊のようなやられ声を出した。
だが、研究員は一人ではなく…
「な、なんだ!?」
「警報だ!警報鳴らせ!」
ワラワラと大量にいた研究員を同時に気絶させるのは流石に不可能で…
ビー…ビー…ビー…
「…チッ」
侵入が所内に知れ渡ってしまった。
研究員達を放っておいて、男は一旦部屋に戻る。
「おい!逃げるぞ!
いいな?」
「あ………うん
キャッ!」
少女が返事をするとすぐに、少女を片手で軽々と持ち上げ、小脇に抱える。
「飛ばすぞ!
しっかり捕まってろよ!」
今度は少女の返事を待たずに、脱兎の如く駆け出す男。
「、!〜〜〜!」
その余りのスピード感に声も上げられず、少女は声なき悲鳴を上げる。
小柄な少女とはいえ、人一人抱えているとは思えない物凄い速さで、男は廊下を疾走していく。