「や〜れやれ、やっと開いたか…」

伸びていた蹴り足を鶴立(かくりつ)――蹴り足を引き付ける行為――しながら下ろし、その人物は中に入って来た。

体格の良いランニングシャツ姿のその男はとにかく力強く、まるで、細胞の一つ一つから力が漲っているようだ。

そんな印象を、少女は受けた。

今まで会って来た研究員達にはいないタイプで、少女はこの男に、どこか惹かれるものがあった。

それは好奇心からによるもなのか、それとも、もっと別の感情から来るものなのか、それは、少女自身にもわからなかった。

「………ん?
………
こ、この子…か?」

部屋に入り、その住人を見て驚く男。

“人体実験の実験体”そう聞かされていた為、男は勝手に、ガリガリに痩せ細った…例えるなら、“7浪している浪人生”のような、ビン底眼鏡の鬼気迫った幽鬼のような男だと決めつけていた。

その為、まさかこんなお人形のような少女が出て来るとは、予想だにしていなかったのである。

「あ〜〜その…なんだ
………
こ、こんにちは」

「こんにちは
…でも、今は夜だよ?」

「お…おお!そ、そうか
えっと…こんばんは」

「…こんばんは」