ガチャ…
「っ!」
少女は慌ててネットとの接続を切り、学習プログラムを起動させる。
珍しいこととは続くものだ。
つい昨日も、普段訪れない客が来たばかりなのに…。
ガチャガチャッ!…
「…?」
誰かはわからないが、なかなか入って来ない。
鍵を間違えでもしたのだろうか?
ドアノブを不自然な程回しているのが、音とその動きでわかる。
「………」
今度は、扉越しに向こうに立つ人物の沈黙が伝わって来る。
やはり、鍵を間違えたのだろうか?
「………」
ガチャガチャガチャガチャガチャッ!
ガ〜チャガチャガチャガチャ!
「………」
ガ〜チャガッチャガチャチャ!♪ガッチャンガ!!♪
どうしても知恵の輪が外れない人のように、無理矢理に、しっちゃかめっちゃかに、もうガチャガチャにノブをかき回す。
最後の方はやけになってか、どこかで聞いたリズムに乗って回していた。
「………な、何?」
生まれてこのかた、この部屋でずっと暮らして来たが、こんな体験は少女は初めてだった。
「………」
今度は、扉の向こうに立つ人物の、苛立ちを含んだ沈黙が伝わって来る。
………
「キャオラァッ!!」
ドガァンッ!!
「ッ!?」
遂に業を煮やした扉の向こうの人物が、奇声とも取れる気合いと共に、鋼鉄製の扉を蹴り破った。
反対側の壁に猛スピードで叩き付けられる扉。
ガアァァーン!…
という鋼の音。
そして、ポッカリと、扉が無くなった空間からは、腰が入りまくった見事過ぎる形で繰り出された足刀蹴りの蹴り足が、ニョキッと生えていた。