環境は人を変える。

まずは、戦争孤児や、夥しい数の人工受精の繰り返しで、大量の幼児を仕入れる。

そして、目的に沿ったカリキュラムを施し、その目的のみを行使するに足る能力に特化した人間を作り出す。

――それが初期段階。

そのやり方では一定の水準に達する個体は生産できても、それ以上の存在は作り出せなかった。

そこで着目されたのが、人工受精によって生み出された子供達だ。

今まで回収して育ててきた、身寄りのない子供達よりも、やはり優秀な精子と卵子によって生み出された者達の方が、総じて性能が高かった…。

その違いは、生まれ持っての才能の差。

人間は、生れつき平等ではない、根本から性能が違うのだ。

――では、才能とは何か?

それは…二重螺旋の塩基配列・DNA。

つまりは、人の持つ遺伝子、ヒトゲノムに他ならない…。

研究は遂に、悪魔の領域へと足を踏み入れ…。

遂には、最大の禁忌とされている、人体実験が行われることとなる。