「その為に、君にやって貰いたい仕事が…コレだ」

先程放り投げた物を男は指差す。

「………コレは?」

「クツクツクツ
君には、その高い身体能力を活かして
世の中を愉快に掻き回す…怪盗になって貰いたい」

「怪…盗?」

「そうだ!
神出鬼没!
正体不明の謎の怪盗…
そんなものが日常的に現れる世界、面白いと思わないか?」

「………」

「この、なんら味気ない食パンのような世界に、刺激を与えるジャムのような存在…
それが君だ!
怪盗ジャム!」

「っ!
………
フフ…
アァー〜ッハハハハ!!
面白い!
その話乗った!!」

大きく身体を反らし、高らかに笑う青年。

「しかし…アンタ何者なんだい?
こんなことをして、何かメリットがあるのかい?」

「言っただろう…この、退屈な世界を、変えてしまいたいのだよ…」

「しかし、怪盗が現れる位で変わるかな?」

「クツクツクツ
心配は無用だ
怪盗ジャムは理想の世界を創る為の歯車の一つ
君には君の役割、そして、別の役割を担う人材は他にいる…
後は合図を待っていてくれ…
わかりやすい合図を送るからな」

「わかったよ」

青年は、タキシードら怪盗の装備を拾う。

「そうだ、そういえばまだ名前を聞いてなかったな…
最後に…名前を聞かせてくれないか?」

「名前…か
私という存在を定義付ける言の葉…
本来ならおいそれと口にすべきではないのだが…
君は私の革命の大事な歯車
ここは…答えておくのが誠意というものだろう
私の名は………」

………