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風呂上がりの響子が向かったのは、近くの大手チェーンの古本屋。
そこで、立ち読みをして時間を潰す。
響子の読む速度はハンパではなく、日本で最も長く続いているあの漫画を、1巻から最新巻まで、数時間で読破する。
しかも一度読んだだけで、どのシーンで、どのキャラが、どんな行動をしながら、どんなセリフを言ったか…等ということも、克明に暗記しているから驚きだ。
超々長編漫画を読みきった響子は、店内を物色し始めた。
………
「………お?
これは……」
響子が見付けたのは、バスケット漫画の金字塔と言われるあの名作、その全巻セット売りだ。
セット売りは、全ての巻が一度に手に入り(全巻セットじゃない場合もあるが…)しかも、通常より安いことが多いのでお得だ。
「………フム
31冊で5000円…
保存状態も良さそうだ…
コレは………買いだな!」
………
「ありがとうございましたー!」
掘り出し物が見付かり、ホクホク顔で店を後にする響子。
車の中で待っていた匠は、大量の漫画を抱える響子のその姿を見て。
(また、何か漫画から影響を受けないといいんですけど……)
と、不安を覚えたらしい。