トゥ…
「はい、鷹橋です」
「っと…早いな、相変わらず」
「恐れ入ります」
「鷹橋…大量にバウムクーヘンを手に入れたのはいいんだが…
重くて敵わん、スマンがすぐ車をまわしてくれ」
「はい」
「ああそれと…身体に安物の煙草の煙が染み付いてしまってな…
風呂入るから替えの服と下着持って来てくれ」
「わかりました」
「頼むぞ」
PWRボタンを押して通話を終え、煙草に火を付ける。
グオォォォォ…!
キキイィッ!
バタンッ!
「すみません、遅くなりました!」
黒いリムジンを響子の眼前に停め、中から匠が出て来る。
「いや…全然待ってないぞ…
つか、よく場所がわかったな…」
「綾瀬君に頼んで、監視衛星チェシャで所長の動向は常にチェックさせて頂いてますので…」
「水被ったら豚になる極度の方向音痴キャラか、私は」
「ま、まぁまぁ…どうぞお乗り下さい」
後部座席の扉を開く匠。
「ああ…っと、そうだ
昼飯まだだった…
鷹橋、お前は食ったか?」
「え?いえ、まだです」
せっせと、大量のバウムクーヘンを車に積みながら返事をする匠。
「堀田に美味いパン屋の場所を聞いたんだ…
今日の昼はそこにしよう」