「そ、そんなことでき」
バキバキ

「…あ、いえ、やります」

指を鳴らす少年を見て、言いかけた言葉を止めるギレル。

「………」
(くそぅ…気に入らん!
実に気に入らんぞ!
こんな子供に…この私がいいように扱われるとは!
………こうなったら……)

「ヤアァッ!」

ドンッ!
パリンッ!

司令室のコンソールにある、ガラスに守られた赤色のボタンを、鉄鎚――拳の小指側の部分――で、あたかも承認!といった感じで叩き割るギレル。

「!?なんだ?今のは…」

ギレルがボタンを押すとほぼ同時に、ブザー音が、連続で鳴り始めた。

ビー…ビー…ビー…

そのブザー音を聞いた瞬間大国の兵士達は、我先にと基地から逃げ始めた。

「おい!何をした!?」

胸倉を掴む少年。

「やだなぁ…降伏の合図ですよ…
ただし…ちょっと派手なね」

ニタァ〜ッと、いやらしい笑みを浮かべる。

「………なにぃ?」

「基地の自爆装置を起動させたのさ!
後10分もすれば………ボン!…だ」

「て…てめぇ……」

「フハハハハ!
どうせ私は、この失態を問われ失脚する…
ならばいっそ、ここで派手に散ろうじゃないか!
この爆発は凄まじいぞ!
ここを中心とした半径3は火の海だ!
敢えて言おう!脱出は無理であると!」

「この………クソが!」

バキリ…と、少年はギレルの顔面を殴り飛ばす。

「スペック!
脱出しよう!」

入口付近に立っていたスペックの方を振り返る少年。

「ああ!
………!」

その時スペックは、殴り飛ばされたギレルが隠し持っていたマシンガンを、少年に向けるのを見た。

「危ないっ!」
「え?」
ドンッ!

「行かせはせん!
行かせはせんぞぉ!」

パララララララララ!

…カラカラカラカラ

銃声と薬莢の落ちる音が、室内に響き渡った。