ボキリ
「うっ!?
う、腕ぇぇ〜〜!?」
ギレルの左腕を、返答を聞く前にいきなり割り箸のようにへし折る少年。
「アンタのこと、殴り殺したくてウズウズしてんだが…
とりあえず、今はこんだけにしとく…」
「なっ、なな…なんなんだ!?貴様らは!?」
「俺達の要求は一つ…
この国の独立を認めろ」
「な………」
「でもまぁ、アンタにそんな権限はないだろうからな…
今この国にいる軍隊だけでも引き上げて貰う
それ位の権限はあるだろう?」
「な……そんなことでき…って指ぃぃっ!?」
再び、返答を聞く前に、少年がギレルの右親指を根本から、関節とは逆に折り曲げる。
「オメェに断る権利はねぇんだよ…
俺達が言うことを、馬鹿みたいに言う通り聞いてりゃいいんだ…」
「………は、はい…」
コクコクと何度もせわしなく、ギレルは頭を上下に振った。
「………」
(くそぅ!
くそぅくそぅくそぅくそぅくそぅっ!!
こいつら、この私を誰だと思っている!?
大国軍のエリート中のエリート!
ギレル・ドズン中将だぞっ!?
舐めやがって舐めやがって舐めやがってぇ!!)
「………ん?おい!
聞いてんのか!?」
「へ?あ、は、はい!」
少年が怒鳴り付け、ギレルはビクリと両肩を上げ、間抜けな声で返事をする。
怒り心頭のギレルではあったが、腕と指の痛みが、本音を口に出すことを許さなかった。
「降伏して基地から出ていくんだ
基地内の放送かなんかがあんだろ?
それで部下に伝えるんだ」
「……は、はい
………って、えぇ!?」