◇
「〜〜〜
どうなっている?!
まだ撃退できんのか!?」

制圧軍司令ギレル・ドズンが、苛立ち声を大にする。

未だ鳴り止まない銃声から、まだ侵入者達を撃退し終えていないことは、ギレル自身も痛い程わかっていた。

だが、ギレルは叫ばずにはいられなかった。

恐怖…焦燥…。

今まで、勝利の味しか味わったことのないギレルに、その未知の感情は、彼を叫ばせずにはおかなかったのだ。

「そ、それが…80あるフロアの内、既に60ものフロアが制圧されています…
こ、ここに来るのも、もう時間の問題かと…」

ソンクソン大佐が、ガクガクと震えながら返答する。

「し、信じられん…なんなんだ!?
こいつらは!!」

ダンッ!と机を叩くギレル、その振動で花瓶が落ち…
ガシャン!

と、音を立て割れる。

「……司令…
もう…白旗を上げるしか……」

「駄目だっ!…
駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だぁっ!!
我々は!
我々は最新!最強!の誇り高き大国軍だぞぉっ?!
それが…たった四人に対して、白旗?!白旗だとぉっ!?
くぅっ………最強の筈の我々が、負けるだとぉっ!?
何故だっ!?」

「坊や…ゴホン!…怒らせたからさ」

ドガァン!
「ひでぶっ!」

何者かが勢いよく扉を蹴破り、司令室へと入って来た。

飛んで来た扉を避けきれず、あっけなくKOされるソンクソン大佐。

「…アンタが、ここの責任者だな…」

荒々しく中に入って来たのは、まだ成人していないだろう若さの少年と、頭にバンダナを巻いた、いかにも傭兵然とした男だった。