………

「ウォォォォォォーッ!!
キャオラァッ!!」

弾丸を躱しながら前進する少年、彼の戦法は突進、ただそれあるのみ。

雄叫びと共に敵陣に突っ込み、奇声とも取れる気合いを出しながら、手際よく敵兵士を気絶させていく。

少年の繰り出すパンチは、突きと呼べる代物ではなく、またそのキックも、蹴りと呼べる代物ではなかった。

ただただ力任せに、腕を、脚を振り回す。

しかしその無茶苦茶な攻撃は、超高水準なスピード&パワーで放たれる為、兵士達はその攻撃を止める術を持たなかった。

「チッ…一人で突っ込みやがって、あの馬鹿が!」

少年を後ろから援護するのは、愛用のセミオート銃を掲げた、スペックという名の傭兵。

物影から非情にも少年を囮に、安全な場所からの確実な狙撃。

少女程の技術は持ち併せてはいないが、スペックとて幾つもの戦場を渡り歩いて来た、歴戦の傭兵。

少年の無茶な動きに合わせて、的確な援護を実行した。

「ホイさっ!」
バン!
暴れる!

「ダオォッ!」
バンバン!
暴れる暴れる!!

「どどど、どっせい!」
バンバンバン!
暴れまくる!!!

………

奇声を上げながら暴れ回る少年の前に、いともたやすく兵士達は全滅した。

「このフロアは片付いたな…
よっしゃオリバ、次行こうぜ!」

「ス・ペッ・ク・だ!!
間違え過ぎだろ!?」

「ハハハ、ワリーワリー
じゃ、先行くぜ!」

「ちょ、オイコラ!
一人で行くなっつの!」

次のフロアへと駆け出す少年と、その後を追うバンダナを巻いた傭兵。

彼等二人の猛進撃は、留まることを知らなかった。