◇

「………ヒドイ…」

大地に膝付き、少女がポツリと呟いた。

スペックはただただ呆然とし、男は奥歯を噛み締めた。

基地に辿り着いた彼らだったが、そこに既に基地の姿はなく…廃墟すらも残っていなかった。

そこにはただ、爆薬でえぐられた大地があるだけだった。

「皆…死んじまった…のか?」

「わかりません…どこかに避難したのかも…
………!
あ!あそこ!」

「っ?!
あ!あいつは!」

彼らが見付けたのは、元々基地があった場所から少し離れたところにうずくまっている、少年の姿だった。

「おいガキ!
オメェだけか!?
他の奴らは!?」

「スペック…
アンタらも……
………ウッ」

「「っ!」」

少年の瞳から涙が零れた、ツーーッと。

予想外の出来事に驚く三人。

強大な戦闘力を有しているので、ついつい忘れがちになるが、彼はまだ少年なのだ。

辛い出来事に涙してしまうのは、当然のことと言えよう。

………

それから、しばらく少年は泣き続けた。

「………グシュ」

「…大丈夫か?」

無言で頷いた少年は、ビーッと鼻をかんだ後、涙ながらに語り出した…。