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「………で、そっから出た後は、他にやれることもないから、傭兵として生きて来た…ってわけ
はい、これで、私の話はおしまい」
「――ファクトリー…
噂では聞いたことがありましたが、実在していたとは…
今まで、大分無神経なことを言ってしまいましたね、すみません」
男は立ち上がり、少女に深々と頭を垂れる。
「ううん、いいよ
私…タカさんのおかげで、少し前向きになれた気がするから…」
「………」
「私が髪切らないで伸ばしてるのはね…
あの子の分も生きよう…って証
あの子との共通点を何か持ってたら、一緒に生きてる気がするの…
単純でしょ?」
「………いえ」
「………あ!もうこんな時間!
ドイルの奴、カンカンだよきっと」
「ええ、急ぎましょう
ところで、ドリアンじゃありませんでしたか?名前は」
「スペックだ!
なんでオメェらは俺の名前を間違える?!」
時間になっても、集合場所に来ない二人をダッシュで探して、ハァハァと肩で息をしながら、スペックが現れた。
「すみません
つい話し込んでしまって…」
「へーへ、お二人で楽しんでらっしゃったようでなによりでさぁ
ったく、このロリコンが…」