彼女との最初の出会いは、小隊でのチームワーク訓練の時。

その子は少女よりも小柄で、少女よりも明るくて、少女よりもよく笑って、そして、少女よりも前からここにいた。

長い伸ばしっ放しの茶髪、クリッとした瞳の愛らしい容姿、こんなところにいるのは勿体ない位に、可愛らしい子だった。

基本的に女の子はあまりおらず、少女の周りには男の子達ばかり、必然的に、少女達二人はすぐに仲良くなった。

広い敷地内にも関わらず、少女達の宿舎は狭い。

5人一組の小隊一つにつき、小さな部屋が一部屋だけ。

男の子3人とはあまり喋らなかった、ただただその子とだけ喋っていた。

辛い毎日も、その子と一緒だから耐えられた。

「ねぇ…ここを出たらさ
私達二人で暮らそうよ!」

いつものように部屋の中で話していたある日、その子が突然言い出した。

「私達、もう少しで全カリキュラムを終わるでしょ?
そしたら、ここから出られると思うの
私、家族なんていないし…
ね、一緒に暮らそうよ」

「…うん、そだね
あぁ、考えただけでワクワクするなぁ」

「ね、楽しみだよね!」

ここを出たら………そんな日々を夢見ながら、毎日黙々と訓練をこなしていた。

そんな甘い話が、ここにはないなんて気付けずに…。