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多少の被害は覚悟の上で、やや強引に基地への進攻を開始した大国の先兵達。

途中でまた、狙撃により数人の犠牲者が出るも、彼らはなんとか基地内に辿り着いた。

壁に、大地に、出来るだけ身体を密着させて、兵士達は侵攻を行っていく。

石橋を叩きに叩いて安全を確認しながら、確実に敵陣地を攻略していく、ここに来てようやく、彼らのいつものリズムだ。

コツン

「?」

そのさなか、夜の静寂に乾いた音が響いた。

その音の正体を、兵士の内の一人が辛うじて理解することができた。

自分の頭に微かにあった感触から、被っているヘルメットが“なにか”に当たった音なのだ、と。

しかし解せない…ほんのつい先程、そこには何もないことを確認したばかりだ。

では一体、自分は何にぶつかったのかというのか?

疑問を頭に、這うような低い姿勢から顔を見上げた兵士の目に飛び込んで来たのは…

「いらっしゃ〜い」

一体いつの間にそこに現れたのか、バキバキと指を鳴らしながら笑顔で待ち構える、ランニングシャツ姿のマッチョの少年だった。