「な、なんだオメェは!?
ふざけてんのか!?
なんだその恰好は!!」

「これは私の仕事着でして…この恰好の方が気が引き締まるんですよ」

「…チッ、なんだかよくわからねぇが、喧嘩に横からチャチャ入れんじゃねぇ!」

「おっ…
オッサン意外にいいことじゃん
そうだそうだ、邪魔すんな!」

「そうはいきません」

そう言いながら、二人の腕を掴む男。

「なっ、離しやが……痛ぅっ!?」

振りほどこうとしたスペックであったが、男の腕から伝わる万力のような圧力に、振りほどく事は敵わなかった…。

一体この細腕のどこに…こんな力があるのか。

「いっ!痛ぅ〜!
わかった!やめる!
やめるから離してくれ!」

その言葉を聞いた瞬間、パッと、握っていた手を離す男。

「ヒイィ〜イ、痛ぇ〜」

転げ回るスペックと、少年の腕には、綺麗に指の形の痣が残っていた…。

もっもと、少年はスペックと違い、痛がるそぶりは微塵も見せなかったが…。

「………礼は言わねぇよ
喧嘩の機会が減ったわけだから…」

「構いませんよ、好きでやったことですし…」