折り畳まれていた手紙を広げ、響子は内容を声に出して読み出した。

「“所長さん、美柑、ヒメちゃん、鷹橋さん、色々とお世話になりました、お元気ですか?
こちらでの生活が落ち着いたので、お手紙を書かせて貰いました。
こちらへ着いたばかりの頃は、とにかくバタバタでした、二郎君はパスポート持ってないし、行くアテもないし、言葉も通じないし…
で、なんとか私がケーキ屋さん(すっごく美味しいんです!)に雇って貰って、しばらくは二郎君はヒモ同然だったんですけど…
なんと!最近、二郎君が描く絵を評価してくださる画商さんが現れて…徐々にですが売れ始めました。
二郎君が皆さんへの感謝の気持ちを込めて描いた、皆さんの絵を、一緒に送ります…”
絵、だと?…ケーキじゃなかったか…
オイ、堀田開けてみろ!」