石姫から送られて来たデータを見る美柑。

事務所周辺の地図に、敵スナイパーの位置マーカーが三つ、ピコピコと点滅している。

マーカーを選び決定を押すと、チェシャが撮っている敵スナイパーのLIVE映像が、画面に映る。

今の僅かな時間で、これだけのソフトを組み上げる石姫は、流石と言う他ない。

「これだけわかれば…後は任せて!」

携帯で見た敵位置を、頭の中で反芻する美柑。

「………」
(山友山の看板の影に一人…
四越デパート屋上に一人…
三丁目の路地裏のポリバケツの後ろに一人……)

「………」

頭の中で、スナイピングをシミュレートする。

脳内といえど、リハーサルをするのとしないのとでは、成功確率はまるで違う。

幾千、幾万の狙撃を経験して来た美柑は、そのことを頭と身体で、痛い程理解していた…。

「スー……ハー……」

深く、大きな深呼吸を一回して…

「っ!!」

ドンッ!!!

バッ!と立ち上がった瞬間、銃弾を三発放つ。

だが、聞こえた銃声は一つだけだった。

ライフルという、連射に向かない銃を使いながら、銃声が一つしか聞こえないという超早撃ち!

勿論、連射できるよう美柑の手によって改造を施された銃ではあるが、美柑の腕前なくしては、到底実現不可能な離れ業だ。

三方向に放たれた弾丸は、各々が正確に的確に、標的を撃ち抜いた…。