時刻は昼の3時、ちょうど小腹が空いてくる、おやつの美味し〜い時間。
『A』事務所2階の客間のソファーにて、桃戸美柑がおあずけをくっている。
今回の依頼人は直接事務所まで依頼しに来ていた。
電話やメールの依頼が普通で、直接来る人は、かな〜り珍しい。
事務所に入って来た瞬間、依頼人が手から下げている箱の中身がケーキだということに匂いでピンと来た彼女は、尻尾を振って、今か今かと待ち侘びている。
依頼人がソファーに座って、箱はテーブルの上。
「…い……かん」
美柑の希望に反して、なかなか中身を出そうとはしない。
「みか………るの…」
くそぅ、依頼の話なんていいから…早く!早くケーキを!と、美柑が待ち切れなくなった時…
ゴンッ!
「あいたー?!」
「ちゃんと話聞いてんのか!?
みかん!」
「いっ!た〜〜〜い!
所長〜殴んなくてもいいじゃない…」
「仕事中にボーッとしてたおまえがわ・る・い!」
言葉に合わせて、テンポよく頭を三回小突かれる。
所長だっていっつも人の話聞いてないくせに…とは、口が裂けても言えなかった。
ケーキが、ものすっ!ごく気になっている彼女だが、とりあえず、話をちゃんと聞くことにした…。