逃げてから気付いた私。

「あ、悠のこと置いて来ちゃった...」


でも、悠は佐藤優太のこと好きっぽいし・・・。


いいのかな?

そんなこと思ってたその時。

「咲希!なんで置いてくの?!」

大きい声を出してドアを勢い良く開けた悠。息の切れている悠の後ろには、佐藤優太の顔も少し見える。

さっきのことをまた思い出して、恥ずかしくなる私。

今、顔真っ赤じゃないかな・・・。

「まじ、ビビッた・・・」

「ほんと、ごめんね~」

優に謝った私は、一瞬、佐藤優太の方をチラッと見た。

チラッと見ただけなのに、視線がぶつかってしまった。

「俺、おまえのこと諦めないから」

視線がぶつかった瞬間に言われた言葉。目を見ていたからわかる。多分・・・本気。

なんで、ここまで私なの?今日会ったばっかだし・・・。意味わかんない。

「んま・・・おまえが振り向いてくれるまで俺頑張るから!」


そう言ってはにかんで見せたアイツの笑顔は・・・すごい可愛くて。

一瞬、ドキッとした自分がいた。


「なんで・・・なんであたしなの?」

疑問に思っていたことを正直にぶつける。

「ん?好きに理由なんて必要かな?」

「だって・・・今日会ったばっかだし・・・」

「会った日とか一緒に過ごした時間とか関係ある?」


質問するたびに、反論されて、結局口で負けた私。

「絶対、おまえのこと振り向かせてやる!!」

そう、アイツが宣言した途端・・・


キーンコーンカーンコーン...。

「あ!チャイム・・・」

ちょうど、チャイムが鳴った。


チャイムが鳴ると同時に佐藤優太は「じゃあな!咲希★」そう言い残して去って行った。