「どったの海ー?」
"どったの"って。
思わずまた笑いそうになったけど、平常心を保ってなんとかこらえた。
「バカ、こいつここでは俺たちと話出来ねぇって言っただろ。話しかけても無駄。」
そうそう、学校では話しかけられても返事できないから、出来れば心を読んでほしい。
「あぁ、そうだった。」
ハチとイブの会話を聞きながら歩いているうちに、教室についた。案の定、担任は来ていない。
「あ、おはよー海」
パタパタとペンギンみたいな走り方で近づいてくる美弥。久しぶりに見た。
「おはよ、美弥。久しぶり、二学期が終わって以来だよね。」
「そだねー」なんて言いながらニコニコしている美弥の顔を、ハチとイブが前から凝視。
「あ、はは…」
思わず苦笑い。
美弥からは見えてないにせよ、真っ正面から覗き込みすぎだから。
「海、こいつなんて名前?」
美弥だよ。椎名美弥。
あたしの親友。
病院が苦手だと言ったハチは、どうやら学校は大丈夫みたいだ。まぁ、死期が近いのなんてあたしぐらいだよね。
「あ、海ー、駅前に新しいケーキ屋さん出来たらしいんだよね。今度一緒に行かない?」
「いいよ、行こう」