あと2、3分くらいでチャイムが鳴ってしまう。間に合うように、教室へと歩き出した。

廊下を歩いていると、焦りながら教室へ向かっている人が何人かいた。遅刻しないように、だろう。


「あ、海おはよー」


久しぶりに会うクラスメート。あたしの横を走り去っていった。普通ならあたしも走らなければならないとこなんだけど、やめとく。


うちのクラスの担任、チャイムがなる前に教室にいたことないし。少しくらいなら遅れても大丈夫。


「この学校、やっぱ気味悪いなー。海の影響もあるけど…」


ハチがポツリとこぼした言葉。あたしの影響って何?って、思っても話しかけることは出来ない。


「死期が過ぎてるからじゃん。悪い霊が集まってる。この学校にも悪影響だな」

あたしが思ったことに対して、イブが返事をした。思ったよりも単純な理由。


学校にも悪影響ってとこが、ちょっと罪悪感あるけど。学校に来ないわけにはいかないから。

「めんどうだな」


イブが、心の底から面倒くさそうな顔をして言った。相変わらず分かりやすい死神だ。


「だったら来なきゃ良かっただろー。だいたい何でイブまで学校ついてくんだよ」

ハチが鎌を振り回しながら言った。ザクザクと、何かに当たる音が常に聞こえている。


「……暇つぶしだって言っただろ。一回で理解しろよバカ死神が。」

あんたも死神だよ。←