痛みはなかった。

耳に入ってきたのは、何かがぶつかるような嫌な音。一瞬、何が起きたのか分からなかった。

ゆっくり目を開けると、あたしの目の前には真っ黒な服を着た死神が立っていた。


「誰だお前ら。」

一瞬、ハチが帰ってきたんじゃないかと思ったけど、どうやら違うようだ。

雰囲気が、ハチとは全く違う。でも、見たことのある死神だった。


「失せろ」

「No.5だ…っ、逃げるぞ…!」


たくさんいた死神が、焦ったように逃げていく。一人残らず消えたとき、あたしの前にいた死神が振り返った。


どうして、No.5がここにいるんだろう。何であたしを助けてくれたんだ…?


「お前、まだ死んでいなかったんだな。」


無表情でそう言うNo.5。その目は冷め切っていて、思わずゾッとした。この死神は怖い。


「勘違いするな、俺はお前を助けに来たわけじゃない。担当以外がお前を殺せば、No.8が罰を受けるからだ。」


つまり、ハチ以外の死神があたしを殺したら、ハチは罰を受けなきゃなんないってこと?


じゃあ、No.5はあたしを絶対に殺さないよね。誰よりも、ハチを心配してるみたいだし。


「ハチの…友達なんでしょ…?」


そう言うと、ギロリと睨まれた。何か、悪いことでも言ったかな………いや、No.5は最初から敵だった。