あたしはてっきり、No.5がいると思っていたのに、いない。

でもその代わりに、複数の死神がいる。


「あいつだ、死期を過ぎても生きてる人間は」


ハチがいれば、No.5以外の死神に警戒することはあまりないんだろうけど、今はそのハチがいない。

何が来たってあたしには強敵で、どうにもならないのは最初から分かってる。


「No.8の担当だが……死期が10日も過ぎている。一刻も早く始末を」

ギラリと光る大きな鎌を振り上げる死神を前に、恐ろしくて動くことが出来なかった。


こんなところで死にたくない。


「終わりだ、人間」


ハチが見逃してくれてる命を、こんなやつらに奪われるなんて、絶対にイヤ!

鎌を振り下ろされたとき、とっさに体が動いた。今だ、と思い、死神から離れて逃げる。


こんなことが起こらないように、ハチはいつでもあたしの傍にいてくれたのに。今はいない。

助けてほしいときに、いない。


「助けてハチーーっ!!」

叫んでみても、やっぱり帰ってこない。ほんとに、このまま死ぬんじゃないの。


逃げても逃げても追ってくる死神。


もうダメだ、そう思って座り込んだとき、ニタリと笑った死神が鎌を振り上げた。


もう一度、ハチの顔が見たかったな…



―――――――キィィイン!!!