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ハチがいなくなったのと同時ぐらいに、目が覚めた。
心臓がバクバク鳴っていて、おさまる気配もない。緊張、とかそういう感情じゃなくて、怖かった。
「海…?」
隣を見れば、ハチが心配そうな顔でこっちを見ている。
「怖い夢でも見た?」
あたしが起きるまで、ずっとここにいてくれたみたいだ。窓の外を見てみれば、空はもうオレンジ色に染まっている。
「…ハチが……」
「俺が…?」
おでこに手を当てて、優しく微笑みながら聞いてくれる。
「ハチが……ハチがいなくなる夢を見た……血がいっぱい出てて…、悲しそうな顔してたの…」
夢だったって分かってるけど、手を握った感触とか、抱きしめてもらったときの感触が、まだリアルに残っている。
現実との区別がつかなくなるような、それだけリアルな夢だった。
「ハチは消えないよね…? ずっとあたしのそばにいてくれるでしょっ?」
不安になって、そう聞いてみるけれど、ハチは何も言わない。
あの、夢の中の悲しそうな表情と、同じ表情をしていた。