夢を見た。


ボロボロになったハチが、何故かあたしを抱きしめている。あたしも、ハチの背中に腕を回していた。


"泣いてんじゃねぇよ…"


夢の中のハチは、苦しそうで、悲しそうで、消えてしまいそうだった。

あたしの頬に、ポタポタと冷たい感覚。泣いてるんだ、と気づくのに時間はかからなかった。



"うーみ、大好きだ…"


ニッと笑ってそう言ったハチの額からは、血がポタポタと垂れていた。


夢にしてはリアル……

何だか胸騒ぎがして、ハチの手をギュッと握る。暖かさは感じない、冷たい手。


"海はもう安全だから、何も心配しなくていい。"

"ハチは…? ハチはどうなるの…っ?"


一瞬、ハチの表情が歪んだ。

嫌な予感がする。


――――――カランカラン…


その音にハッとして、ハチを見るけれど、そこにもうハチはいない。


"ハチっ?"

ハチの大きな鎌だけが、転がっていた…