明日の朝、あたしは目覚めないだろう。



「おやすみ、海」



「おやすみ、ハチ」



リビングのソファーに座っているハチを、目に焼き付ける。




色素の薄い少し茶色の髪とか、深い赤の瞳とか、真っ黒なローブとか、大きな鎌とか



優しい笑顔とか…



たった一週間と4日、一緒にいただけだというのに。



辛い、悔しい



あたしのところに来てくれたのが、ハチで嬉しいけれど



それと同時に、ハチじゃなければ良かったのに、とも思った。




自室につくと、そのままベッドに倒れ込んだ。



布団を被ってギュッと目を瞑る。



何も考えないように、すぐに眠ってしまえ。



フワフワとする意識の中、あたしの記憶はここで途切れた。