あたしが事故を起こすはずだった日、あたしは目の前で人が死んでも何とも思わなかった。



それなのに今さら死ぬのが怖いだなんて、最低だ。



死にたくないと思ってしまう。




「じゃあ……またね」



『うん、またね』




もう会えるかもわからないのに「またね」だなんて、あたしは嘘つきだ。




「はぁー……」



そのまま壁を伝ってズルズルとしゃがみこんだ。




早く戻らなきゃ、ハチが心配するだろうな…




「あと1時間…」



死ぬまでの1時間、あたしはどうすごせば後悔しないのだろうか?





――――――ガチャ




「あ、海」



「ハチ、何やってんの?」