「死にたくないなら、そう言えばいいだろ」

海にもそういう部分はあるはずだ。

人間なんだから、生きたいと思うのは当然のこと。


死んだらどうなるのか、どこへ行くのか。何も知らないから、人間は死ぬことを恐れる。当たり前だと思う。


「ハチ急にどうしたの?」

海が驚いた表情でこっちを見ている。自分でもビックリした。

海といると、自分のペースを崩されてしまうんだ。


「海だって人間なんだから、死ぬのが怖くないなんてことないだろ…?」

そう問うけど、海からの返事はない。


驚いているのか、どう答えていいのか分からないのか…

そう考えていると、海の心が読めた。

思っていたのとは違って、今までの人間とは違う考え…


"死にたくないけど、あたしが死ななきゃハチが困るんだから…"

俺のことを考えて死ぬ決意をした人間なんて、初めてだった…