あ、心読めるんだった。

何かこっちが申し訳ないな…


「いいよ、全然気にしてないから」

本当はあたし、10年前に死んでる運命だったんだから。


「海っ、飛んで帰ろっ」

あたしの返事を聞く間もなく、あたしを抱えてフワリと飛んだハチ。

それも、ハチの優しさなのかもしれない。


目が回りそうなほどに景色は移り変わり、冷たい雪の粒か頬に当たる。その度にヒリヒリした。


「はい、到着!」

いつものことながら、改めて凄い速さで飛んでいるんだな、って実感。

「ありがと」


誰も居ない家には明かりはなく、クリスマスに電気のついていない家は、この辺ではうちだけだった。


「もう10時かー…」

携帯で時間を確認して、玄関の鍵を開けた。


フヨフヨ浮きながら家の壁をすり抜けるハチを見て、また、呑気だなーって思った。


「ねぇハチ、あたし何時に死ぬの?」

さっきまでフヨフヨ浮いていたハチが、突然ビタンッと音を立てて落下した。

「え、大丈夫?」←

「うん、大丈夫ー…」