「また帰ってくるんだよ?」
「分かってるよ、じゃあね」
「うん、バイバイ」
引っ越しの日、美弥の家に挨拶に来た。夕食を食べさせてもらったり、泊まらせてもらったり、色々迷惑かけたから。
迷惑かけたはずなのに、美弥のお母さんは笑顔で「またいつでもいらっしゃい」そう言ってくれた。
何度感謝しても足りないくらい、美弥には助けられた。あたしにとって美弥は、家族も同然。大事な大事な存在だ。
ずっと、一番の親友だからね。
予定の時間よりも早く家を出たのは、美弥の家に寄るためだったけど、理由はそれだけじゃない。
ハチと一緒に行った場所に行ってみようと思っていたから。
時間がそんなにあるわけじゃないから、すべての場所には行けないけど、少しでもハチと一緒に見た景色を覚えていたいから。
ここを離れる前に、目に焼き付けておきたい。
「たしか、こっちだったよね…」
曖昧にしか覚えていない道を、辿っていく。
まるでハチに会いに行くみたいで、一緒にいたときの感覚が戻ってきた。ドキドキする、この感じ。