「海の気持ちも知ってたよ」


あたしの気持ちも…

とっくに気づかれてたんだ。そうだよね、ハチは心が読めるんだもん。


「気づいてたなら……もっと早くに言ってくれればよかったのに…っ」


もっと早くにハチの気持ちを知りたかった。

こんなときに聞くなんて…


「ごめん、言えなかったんだ。死神と人間の恋は厳禁だから。言った瞬間に俺は消される。でも……やっと言えた…」


冷たいハチの手を握る。

目を疑った。涙が視界がボヤけてるからだと思った。思いたかった。


「ハチ…っ、透けてる…!」


ハチの体が透けてきていた。

ハチは自分の手を見て、悲しそうに笑った。


「お別れだ、海」


離れないように必死に腕をつかむけど、やっぱりどうにもならないみたいで。ハチの体はだんだんと透けていく。


掴んでいるはずの腕の感触も、はっきりしなくなってきた。触っているのか、分からないような感覚。


「待って…っ、やだ…!」


必死にすがるあたしの手も、ハチには触れられない。