「どうしてハチが消えなきゃならないの…っ?」
「海、運命を変えるには、それなりの代償が必要なんだよ…海を助けるには、これしかなかった。ごめんな、寂しい思いさせるけど……」
寂しい思いさせる、なんて。分かってるなら一緒にいてよ。
あたしから離れないで、消えないでよ。
「海なら大丈夫だよ、俺がいなくたってやっていける…」
「無理だよ…! ハチがいなきゃダメなのっ、1人にしないで…っ」
まだ好きって伝えてないのに。
まだまだ、伝えたいことはたくさんあるのに。
「海…」
ハチの冷たい手が、あたしの頬に触れる。あたしの頬も冷えきっているはずなのに、ハチの手はもっと冷たかった。
「俺が消される理由、ほんとは海を殺せなかったからじゃないんだ」
「え…?」
泣きながら笑うハチの表情が辛くて、何も出来ない自分に腹が立った。
あたしはただの人間だから、どうすることもできないんだ。
「ほんとは…………海のこと、好きになっちゃったからなんだ」
「…え…?」
ハチが…あたしのこと、好き…?