「ねぇハチ…」


「俺さ」


まるであたしの言葉を遮るかのように話始めたハチ。あたしの話なんて、聞いてくれない。

ずっと一緒にいよう、ってそんな話をしたら、絶対にハチは話をそらすし、返事は絶対にしない。


だからかな、あたしが今不安なのは。


「俺…、勝てなかったんだ」


勝てなかったって、誰に…?


悔しそうに笑うハチの顔を見ていると、胸がギューッと締め付けられた。


「あの時………、イブを助けに行ったときな……俺とイブ」


ヤダ。聞きたくない。

どうして?


あの時、あんな風に笑ってたのに。

ハチもイブも、何もなかったみたいに笑って、3人でアップルパイ食べたじゃない。


「ほんとは、消されるはずだった。」


なのになんで…?


「力じゃ叶わなくて。もう少しだったんだけどなー……、どうにもならなかったんだ」


どうにもならなかったって、何?

どういう意味?

聞きたくない。

だって、何となく分かるんだもん。