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「暗くなっちゃったし、帰ろっか」


「うん」


暗くなってきたのと同時に、寒くなってきた。気温が下がってきてるんだ。


「ごめん、海。飛んで帰りたいとこなんだけど、そんな体力残ってねぇわ…」


あぁ、忘れちゃってた。

ハチは今、人間に見えるんだ。


「いいよ、歩いて帰ろう。新鮮じゃない?ハチと歩いて帰るなんて」


「だな、いつも飛んでたし」


なんて言って笑いながら、ハチはあたしの手を引いて歩き出した。


相変わらずだけど、やっぱりハチの手、冷たいなぁ…


人間に見える姿にはなれるのに、人間にはなれない。中身は死神だもんね。


「また、春に来ようね。この場所気に入ったし、暖かい時に来たい」


何気ない言葉だったのに

何故かハチは困ったように笑って、何も言わずに歩き続けた。