「300年前にさ、見つけた場所なんだ。俺がまだ死神になって2、30年ぐらいのとき。」
あぁ、そっか。ハチはあたしなんかよりも長く生きてるんだった。
「俺の大好きな場所。300年前から全然変わってないんだ」
「へぇー、そっか。あたし学校以外であんまり出掛けないから分かんないんだよね」
外出が嫌いだってわけじゃないんだけど、両親が死んだ日から、何となく外に出る機会が減った。
だから特別好きな場所とかって、ないんだよね。
「じゃあ今から行くとこを好きな場所にすればいいじゃん。」
「え?」
「行く度に俺を思い出して。寂しくなったら、そこへ行けばいい。俺と海の、二人だけの場所だからな」
二人だけの、場所。
「…うん、分かった」
まぁ、ハチがいるかぎり寂しい思いなんてしないだろうけどね。