「はい」

そう言って差し出されたハチの手。


手、繋ぐのかな?


ハチの手にあたしの手を重ねると、ギュッと優しく握られた。


冷たいけど、大きな男の子の手だ。


「ふはっ、ほんとにデートだな」


「デートしたかったんでしょ?」


ハチとこうやって手を繋いで歩くことが、不思議で仕方がない。

だって、普通じゃ有り得ないことだもん。


「うん、デートしたかった!」


あたしも、同じ気持ちなんだよ。

ハチとこうやって、デートしてみたかった。


「海、行きたいとこある?」


「んー、特にないかな…」


「じゃあさっ、俺の秘密の場所に連れてってやるよ。言っとくけど、海だから教えるんだぞ」


嬉しそうに笑うと、さっきよりも強くあたしの手を引いて歩いて行く。

どうしても、教えたかったのかもしれない。