窓の外に広がっていた、あの真っ暗闇も消えていて、いつもと変わらない夜空が見える。


「行っちゃった…」

一瞬のことだったから、何も言えなかった。


それより、ほっぺにチューされたことが衝撃的すぎて。


「イブばっかずりー!」

外に向かって叫んでいるハチ。


「ハチ、近所迷惑だからやめて」

ブスッとした顔であたしを見るハチ。拗ねてるのかな。

イブめ、地味に爆弾落として行ったな…



「ね、俺もチューしていい?」

窓の外を見ていたハチが振り返ってあたしを見る。

そんな、可愛い顔して笑ってもダメ。


「ダメ。ほら、イブも行っちゃったことだし、そろそろ寝ようよ」


何でかな。

イブが行っちゃったのに、何かまだ実感が沸かない。


そのうち、急に現れたりしそう。

って、思い込みたいだけなんだろうけど。


「はいはーい」

素直に頷いて、あたしの後についてくるハチ。


「明日はあたし学校に行くから」