夢を見た。前に見た夢とは違って、楽しい夢。ハチもイブもあたしも、笑っていた。
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「ん……」
目を開けると、窓から入るオレンジ色の日差しが目に入った。眩しくて、思わず目を細める。
「あ、海起きた」
ソファーに座っているあたしの後ろから、声がした。プニッと頬を指で刺される。
「んー、ハチかー」
顔をあげると、思ったよりもハチの顔は近くにあった。ていうか、もう目の前にある。
「あれ、イブまだ寝てるんだね」
ずっと目を合わせてるのは無理だったから、顔を横に反らした。そこにはまだ眠っているイブがいる。
「疲れてんだよ。いろいろあったしなー…」
確かに、いろいろあった。
12月14日にハチがあたしのところに来て、いきなり命日を告げた。あのときはどうなるかと思ったけど、今こうして生きてる。
イブの第一印象は、怖くて仕方なかったけど、今は仲のいい死神だ。当たり前のように、友達みたいになってる。
たった2週間。
イブと過ごしたのは、たったそれだけの、短い期間だった。