あんなに強い4人を、倒したっていうの? ハチは一度捕まった相手なのに。


「ん……うぁー、よく寝た…」

救急箱を取りに行こうと立ち上がったとき、壁により掛かって寝ていたハチが、目を覚ました。


「ハチっ!」

呑気に欠伸なんかしている。

「おー、海。おはよう」

ニコニコしながら言うハチに思わず駆け寄る。イブも立ち上がって、歩いてきた。


「おはようじゃないでしょ、バカ! 怪我いっぱいしてるじゃん!」

「あー、大丈夫大丈夫、痛くねぇし。明日になったら治ってるからさ」


眉毛を下げて笑うハチ。あたしの頭をポンポンと、撫でた。これ、癖なのかな?


「あ、でもイブは手当てしてあげて。俺と違って治り遅いからー」

そんなことを言ったハチの頭を、イブが拳でゴンッと殴った。音の感じが、本気だ。


「痛い痛い!! ちょっ、俺本気で心配してやってんのにっ 殴ることないだろー?」

頭を抑えながら、涙目でイブを見上げるハチ。いつものハチだった。


昨日のことなんて、なかったかのような態度。触れない方がいいのかもしれない。

「お前に言われるとムカつくんだよバーカ。」


あたしがさっきまで寝ていたベッドに、イブが倒れ込んだ。ポスッと音を立てて、ベッドの空気が抜ける。