「おっと、その前に……その人間は邪魔だな」
1人の死神と目があった瞬間、ドンッと何かが体にぶつかる感覚があった。一瞬、何が起きたのか分からなかった。
あたしの体はハチとイブからは引き離されるように、宙に浮く。体が痛い。
「海っ!!!」
再びドンッと衝撃があったとき、あたしは地面に横たわっていた。体が、完全に動かない。
「ハ、チ……っ」
頭がクラクラして、今にも意識が飛んでしまいそうだ。
駆け寄って来ようとするハチに向かって鎌を降ろそうとする死神。誰よりも先に、それに気がついたイブがハチの後ろを守る。
「チッ…」
舌打ちしたハチ。
あたしの方に来る足を止めて、戦い始めた。
いいんだよ、それで。今はあたしの心配なんかしてる場合じゃないんだから。
「海…!」
戦いながらも、チラチラこっちを見ながらあたしを気にするハチ。
ダメだよ、よそ見しちゃ。後ろにはイブだっているんだから、ハチがやられちゃったらイブまで危なくなっちゃう。
そんな考えもすぐに頭の中で消えた。
「うぁ……っ!」
ギリギリの意識の中、ハチが死神に傷つけられているのが見えた。
何も出来ないあたしに苛立ち、どうすることも出来ない状況に、涙がポタッと零れ落ちた。
そのまま薄れていく景色の中で、最後に見たのはハチの悔しそうな顔だった……