「海、絶対俺から離れんなよ」

ニッと笑って、あたしの頭をポンポンと、軽く撫でた。


ちょっと待って、ハチ。

今怪我してるじゃない。頬にも、腕にも、いっぱい傷があるじゃない。血だって出てるよ?


全然大丈夫じゃないくせに、何でそんなに強気なのよ。もしかしたら殺されちゃうかもしれない状況で、何でそんな風に落ち着いていられるの…?


「…俺は一生海を守るって決めたから、こんなとこで死ぬわけにはいかねぇし。黙ってみてるわけにもいかねぇからなー」


"一生守る"

そんなこと言っちゃったら、ハチは一生あたしの傍に居なきゃならなくなるのに。


「考えてるとおり、一生海の傍に居るつもりなんだけど。」

ハチがあたしの耳元でそう言ったとき、階段の上にいた死神達が飛んでくるのが見えた。


「イブ、後ろは任せた」

「俺も、後ろはお前に任せた」


あたしの前にはハチがいて、後ろにはイブがいる。ハチとイブは背中合わせになって戦うつもりらしい。


「お前らを始末するのは惜しいが、掟破りには罰が絶対だからな。」


惜しい、だなんて、少しも思っていないような表情で、鎌を振り上げる死神。

表情は少しも変わらない。だからそう見えるのかもしれないけど、やっぱり冷たい印象。